巨木たちに出会った感動を短歌にしてみましょう。投稿待っています。

葉の衣落ちて寒そう銀杏よ 安田 誠

おいらせの水が海にそそぐ地よ自由の女神と「根岸のイチョウ」 山本光雪

鎌倉の時代に移り住んだと云うもののふが植えし「新舘のイチョウ」 山本光雪

隠れたる神社の跡かこの場所はいにしえ偲ぶ「鳥谷部のイチョウ」 山本光雪

黄葉の落葉踏みしめ垂乳根の幹も寒々「子安のイチョウ」 山本光雪

台風の折れ枝にまけずあっぱれ青空に映ゆ「法量のイチョウ」 山本光雪

巨木より黄葉よりもギンナンがいいと翁は「杉の木のイチョウ」 山本光雪

とき過ぎて落せし衣敷きつめて寒々と立つ仙ノ沢の銀杏 岩川正夫

吹き出し風に舞い散る黄金敷き野舞台に立つ法量の銀杏 岩川正夫

楽しみを木がらしすでに運び去り子安銀杏は冬したく終え 岩川正夫

 

法量の銀杏早くも冬支度ころも散らして黄金のしとね 岩川正夫

乳足らぬ女人は銀杏に願かけて米に託すや足乳根のごと 岩川正夫

その昔乳房の銀杏にさわりせば願い叶える杉の木の神樹 岩川正夫 

新館の乳もらいの木今に継ぐ里のまごころ育みて聳つ 岩川正夫

ゆく秋に千本カツラ香を残し衣ちらして早や冬じたく 岩川正夫

伝説の小池のカツラいく星霜行基の心杖に託して 岩川正夫

青空へまっすぐに伸びキツネ松いかに歩むか我が人生も 岩川正夫

寺久保の乳房のごとし大銀杏とき(秋)を惜しむか緑濃くして 岩川正夫

釜淵の観音堂の大イチョウ神(しん)として境内にたつ 岩川正夫

 

はるかなるときを重ねて二千年いま咲きほこる対泉院のハス 岩川正夫

島守の稲荷神社を訪ねれば木漏れ日の森しんいんとして 岩川正夫

空の青赤の鳥居がほむらたつ見上げる奥に天狗沢神社 岩川正夫

里山にあまたの神が集まりし信仰の森天狗沢神社 岩川正夫

いにしえのたどる史跡は南祖坊小雨の中の十和田湖の森 岩川正夫

大銀杏五庵河原の風に舞うきごろも(黄衣)敷きて寒空に立つ 岩川正夫

法量のいちょうもぼ色に衣替え深まるときに落ち葉敷きつめ 岩川正夫

十和田湖の「杉ノ木いちょう」訪ねれば落ち葉敷き立つ向寒の森 岩川正夫

巡る春命の香りトチの花緑の翼高く広げて 岩川正夫

濡れそぼる雨の墓前に語り部の会津の心しみじみとしむ 岩川正夫

 

幾年と村をみつめて聳え立つ神と崇める城山の杉 岩川正夫

八百年を生ききて大木何見しやわれら未だに百にも満たず 不明

めぐる春命の香りとちの花緑のつばさ高く広げて 岩川 正夫

いくとせのロマンと共に燈明堂 岩川 正夫

トチの巨木八百余年花嫁のベールのごとく初夏に咲かせて 濱口 ソヨ

藤の花大木にからみ天までもみごとな花で野山をかざる 濱口 ソヨ

静かさに寺下川の水清く流れに響く観音堂は 新坂 恒雄 

家族には巨木めぐりの道楽はひとりよがりの迷惑とぞ知る 山本 光雪

天神の銀杏の巨木のひと枝で作仏したり地蔵菩薩   山本 光雪

天高くイチョウの黄色七戸の子安の社に積もれり落葉 山本 光雪

 

空の青とけこむ黄色もさらに映え子安いちょうに秋を楽しむ 岩川 正夫

西空に公孫樹の古木聳え立つ風雪に耐えし歳月眩し 嶋守 登

大いちょう黄色のジュータン敷きつめて足ふみ入ればカサコソの音 濱垣 ソヨ

いちょうの木ふれて伝わるあたたかさ 田面 順子 

秋空に実にのびのび子安いちょう黄に衣替え風にふふと揺れ 田面 順子

神の木をあおぐ我身に光ふり 妻神 良子

雨降りて七崎大樹いきいきとさわりていただく無病長寿を 中村 カク

大銀杏永遠の命に恋着し 嶋守 登 

巨木見て郷土の歴史繙けば数多の偉人の叡智偲ぶ 嶋守 登

泣きながらサヨナラをした大杉もふるさともみなダム湖にしづむ 青鬼

 

満開の栃の花ぶさ紅ふふみ八百年の香りを放つ 山根 勢五

幾千の白き花咲き森のごとし龍の枝もつ茨島の栃  山本 光雪

幾万の花をかかげて八百五十年をとち満開水無月の風  田村 千代子

巨きなる栃の白花揺れゆれるたましひ透きて仰ぎ立ちたり 高田 八重子

観音の衣ひろげし姿にか大地なづりて茨島栃の木 東山 貴子

西越のかつらの下(もと)に清水湧く訪ねる人の心うるおす 岩川 正夫

幾年と村を見つめて聳え立つ姫の念(おも)いが七崎の杉 岩川 正夫

いくらでも優しくなれる香りするそんな気がして「香の木」見上げ  嶋守  登

大杉は「喜怒哀楽」を秘めて立つここ八戸にほこりとぞ知る 松沢 のぶこ

万葉や大樹おおかた祠抱き  氏名無し


雨の中巨木に出会い心晴れ  中村幸子
梅雨に立つ幾百年のこの巨木我れ問うて見たい今の世を  菊地 隆
神の木の下にたたずみ耳すます雨のしずくの語る千年 田茂  順子
しもつきのふりくる雪は儚くてもみじのくれない濡らして消える 山本 光雪

現身は世情に汚れ高ぶれど巨木を前にそのはかなさを知る  岩川 正夫

初雪の黄金の森の大イチョウ記念の写真に陽もさす今日は 山本 光雪

大イチョウ色あざやかに初雪や 浜垣そよ 

あるがままの姿で立っている大杉よ霧をまといて千年のときを     山本 光雪

いまは亡き教諭が植えし学び舎の希少種の松「ハクショウ」の謎  山本 光雪

車中にて巨木めぐりの旅人にもらいし写真はミイラの河童     山本 光雪

 

赤松の巨木の枝の指し示す五月のまほらガウディの蒼穹(そら)  高田 八重子

千年後の人らの仰ぐ赤松の巨木はすでにサグラダ・ファミリア   高田 八重子

さとやまの苔むす森の水清く巨木はぐくむ天使あらわる 山本 光雪

皁莢(さいかち)の実を掌に泡だてて遊びし日びよ巨木を仰ぐ  高田 八重子

根元には小さき祠を守りゐる八百年の皁莢尊ぶ 高田 八重子

「天狗の松」さがして四たびついに今日たどり着きたる青空の下   山本 光雪

三度目の目指すアカマツ雪山のタヌキにだまされ今来た道を   山本 光雪  

カンジキで五時間かけて探せども雲隠れせし「天狗の松」は 山本 光雪  

雪ふかく到達できぬ「天狗の松」つぎくる日まで楽しみとせん 山本 光雪

千年を生きる桂の蒼ひかるあまたの幹のこぶは妖精 高田 八重子

 

七崎の「神の大杉」千年の風はらむらん鉾天をさす 東山 貴子

ほの暗い沼のほとりに棲んでいる八頭木の蛇王の松は  山本 光雪

から松のおち葉ふみしめ来る人のはく息しろく降るならば 雪  山本 光雪

生きたいか延命治療ほどこされ皮一枚の「一本タモ」の樹  山本 光雪

なぜだろう巨木を訪ね歩くのは蟻の如くに引き寄せられて   山本 光雪

巨木背に知る人並び見る写真われに翔び来よアロマセラピー  関口 玲子

垂乳根の伸びる間もなく消えて行く命みじかし人間どもよ 山本 光雪

四百年の時空を超えて今を見るニドムカムイのブナの巨木は 山本 光雪

雉子も鳴く庭に巨木をもつ主の笑顔の解説お茶のみながら 山本 光雪

ゴーゴーと枝も葉も飛ぶ白神の巨木揺るがす風神の声 山本 光雪